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北海道ではエンジンオイルが劣化する?

北海道の車はエンジンオイルが早く劣化?

このような↑記事を読みました。
私は「そんな馬鹿な!」と即座に思いましたが、そういう風に言う北海道の人もいるし、自動車用品店でもそのように言う店員もいます。

私は東京出身ですので、北海道に来る時に北海道での車の事情を徹底的に調べましたし、今でも疑問に思うと調べるし、時にはディーラの整備士を質問攻めにしています。

北海道でのエンジンオイルの真実を書いてみようと思います。

北海道ではエンジンオイルが劣化すると言われる理由

いきなり「北海道ではエンジンオイルが劣化する」と書いてしまいましたが、これは特定の条件が伴った場合の話しです。
その特定の条件とは以下のようなものです。

月間/年間走行距離が極端に長い。
一概には言えないが例えば年間走行距離が数万km以上とか。ほとんどタクシーや業務車両レベル。

エンジン回転を上げる癖がある人。
これはMT車に限った話しではありません。AT車でも近年はシフトレバーやパドルシフトで実に簡単にシフトアップ/ダウンが行える車が増えました。

変速機能が充実している車でも殆どの人はこれらの機能をあまり使っていないようですが、なかにはガンガンシフトダウンを行ってエンジン回転を上げる人がいます。

トルクのピークゾーンを使うことによって、より高加速を求め、効果的なエンジンブレーキをかけるということなのでしょうが、当然常にエンジン回転は高い状態に置かれます。

冬季の暖機運転が長い人。
北海道以外(正確に言うと雪国以外)の方は「え?今時暖機運転なんてするの?バカじゃないの!」という人が多いことでしょう。
でも大昔の車で必要とされた「エンジンを保護し寿命を長くするため」の暖機運転ではありません。

冬季に発進のだいぶ前からエンジンをかけて窓ガラスを温めてガラスの凍結を除去するためにエンジンをかけることです。

雪国でも冬の北海道は極端に気温が低いので(札幌市街地でも-8~-12度以下、道東道北/山中だと-20度以下など)、フロントガラスには驚くほど分厚い氷が貼り、ガラス面を暖める以外除去する方法はありません。

解氷スプレーが効果があるのは薄い氷だけです。

人によってはわずか100m先のコンビニに行くために20分も前からエンジンをかける人もいます。
分厚い氷が貼れば時として20~30分近くエンジンをかけてガラスを温める必要があるので、このような事になるのですが、歩いたほうが遥かに早く経済的ですね。

リモコンエンジンスタータを常用している人
これも特に冬季の場合ですが、暖房と連動してリモコンを使う人は乗車1時間近く前からエンジンかけっぱなしの人もいます。
「無人でエンジンがかかったけど、いつ乗るのだろう?」と心配になることもあります。

家の中からリモコンでエンジンをかけると車の事を忘れてしまうのかもしれませんね。

 

以上はエンジンの負荷が大きく、オイルが高温にさらされる時間が長いということです。
つまり結果としてエンジンオイルの劣化が早まるということに繋がると言ってよいでしょう。

ではエンジン自体はどうなの?という疑問も生じますが、上記のような運転を行っても実際には殆どエンジンの劣化は進まないようです。

もちろん10数万km以上、タクシーのように50万km、バスのように100~200万km以上乗りたいというのであれば出来れば避けた方がよいのですが、今のエンジンは耐久性がかなり高く(もちろん当たり外れはあり)、メンテナンスをしっかりして無理をしなければ大した障害にはなりません。



本当に北海道ではオイルの劣化が早いの?

上述で「なるべく避けた方がよい」項目をあげましたが、それらの項目も含めて結論を申しますと、

【北海道だから特別オイル劣化が早いことはない】

ということです。

とにかく今の車は耐久性がよく、無茶な運転(不要な高回転など)をせず、オイル交換を定期的に行っていればエンジンは長持ちします。

オイルの劣化が早い=エンジンへの悪影響がある、ことは殆ど無いということです。

結論を補足すれば、

【北海道の車はオイル劣化が早いのはウソ】

とも言えます。
もちろん走行距離が長い、冬季の暖機運転があるなどを考慮すれば厳密にはそうでない地域の車に比べてオイルの劣化/汚れは早くなりますが、エンジンに不調をもたらす程のものではない、ということです。

エンジンオイルの交換は?

大昔から車の雑誌(今ならばネット記事)を賑わして来た話題ですが、結論はたった一つしかありません。

それは自動車メーカが決めたオイル交換周期を守れば良い、ということです。

これ以外に高い頻度のオイル交換は必要ありません。
自動車用品店の店員がしつこく勧めて来ても無視してOKです。

一般的な自家用の市販車は「5000~10000km走行、または半年に1度のオイル交換」で十分です。

あまりにも当たり前に言われている回答になってしまい、面白みにも欠けると思いますが、私はこれらをエンジン工学書を読んだり自動車メーカの整備士などにも聞いて出した結論です。

だから間違っているとはまったく思っていません。

ただし例外はあります。それは以下の場合です。

その車特有のオイル交換周期がある場合。

オイル交換にシビアコンディションが明記されている場合。
→例えば「1回(1日もあり)の走行が5~8km以下の短距離しか走らないのが日常の車。

値段の高いオイルがいいの?

オイルに(車に)こだわる人は高価なオイルを気にせず買う人もいます。
悪いことではありません。純度の高い100%化学合成品、広い使用温度範囲のオイルは値段も高い傾向があります。

中にはメーカーの宣伝文句で、「ジェットエンジンのオイルと同等の成分」なんてうたっているものもあります。

結論は、

【単なるムダ】

ということです。
だいたいジェットエンジンと車のエンジンは構造/原理からして別物ですし、車の使用環境なんて飛行機に比べたら全然アマアマの環境でしか使われませんね。

一部のスポーツカーなどは自動車メーカが上述のような高価なオイルを指定している場合があり、その時はメーカに従うのがベストです。
(交換周期も)

しかしそうでない車に高価なオイルを入れたからと言って「高回転までよく回る」、「エンジンの寿命が延びる」なんて事はありません。
自己満足だけです。


エンジンオイルに限りませんが、設計製造した自動車メーカが「ここはこの部品(オイル)でよい」と言っているのに、自動車用品店の店員やオイル/部品メーカからお金をもらって記事を書いている自動車評論家が勧める部品(オイル)を使うと良い、という理由が私にはどうしても理解出来ないのです。


私は自動車屋や機械技術者ではないのですが(でも元電子技術者)、一応エンジニアの端くれでしたので、工学的なセンスはある方だと勝手に思っています。

だから余計上述のムダが気になるのです。

もちろん指定以外の高価なオイルを使えば交換直後は「多少エンジン音が静か」とかあるかもしれませんが、それも2日も経てば前回のオイルとの差が分からなくなりますし、精密測定器で比較しても人間では感知し得ない程度の差しか出ないはずです。

これをどのように捉えるかは車のオーナーが決めることですが、現実はこうなんだという事をお伝えしたかったのです。



高い車ほど高価なオイルが良い?

これは北海道に限ったことではないし、多くの方がこのように思っている傾向もあるようです。

既に「交換するオイルと周期はメーカー指定のもので十分であり、高価なオイルは不要」と書いてきましたが、それでも納得出来ない人も世には多くいます。
(失礼ながら納得出来ない人の9割超は現実を知らない、技術系ではない方と思います。悪いという意味ではありません。)

高価なオイルの一般的な特徴をあげてみると、「100%化学合成」、「広い温度範囲」、「滑らかで抵抗が少ないのにシリンダーやピストン表面を確実に守る」、「寿命が長い」などがあると思います。

これらの高性能はやはりスーパーカーや高級車向けなのでしょうか?

私が徹底的に調べ上げた結論はまったく違いました。


自動車メーカが上記のオイルを指定していない限り、高級車/大排気量車ほど一般的な安いオイルで良い。

高価/高性能のオイルは軽自動車(特にターボ車)に使うべき。


ということです。

なぜに?と思うかもしれませんが大排気量の車は、排気量だけで十分なトルク(つまり出力)を稼ぐことが出来ますが、排気量が小さい軽自動車は出力を回転数で稼いでいるからです。

タコメータを見ても1300ccクラスと軽自動車ではレッドゾーンの位置がだいぶ違いますね。
特に軽ターボだとレッドゾーンが8500rpmなんていう車もあります。

高回転を常用するということはそれだけオイルの温度が上がりやすい、ということですので、大排気量の車よりも条件が厳しくなるから「高価なオイルは軽自動車向け」とも言えるのです。

出力(kw又は馬力)=(回転数 x トルク)/716.2

ですので(大雑把ですが)、排気量が小さい(トルクが小さい)軽自動車は回転数を上げて出力を稼いでいるのです。

どうですか?納得頂けましたか?

 

結論として、

北海道、寒冷地だからオイルに特段の扱いをする必要はない。

「自動車メーカ指定の性能のオイルを指定された交換周期で変えるだけでよい」

ということです。

これを超越した交換は単なる自己満足に過ぎないと言うことです。
もちろんお金が余っている人はまた別の話しとなります。

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