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ペダルの踏み間違いの問題

多発するペダルの踏み間違い事故

【今回の記事は北海道特有の話題ではありませんが、安全運転には無視出来ないことなのであえて書きます。ただし一部北海道固有の問題も含まれています。】

ここのところ特に高齢者によるペダルの踏み間違い事故が多発しています。
以前からあり今年になって急激に増えたわけでもないのでしょうが、たまたま連続して大きな事故が起きたようです。

悲惨なニュースが続いていて「もうやめてくれ!」とテレビに向かって言いたくなります。

しかし事故そのものの問題に加え、報道姿勢も相当大問題を抱えていると思います。

理由は「ペダルの踏み間違いを起こすのは=高齢者のみ」、「高齢者の事故は多いが若者は少ない」とでも言っているような報道の表現の仕方があまりにも多いと思うのです。

実は若年層の事故は非常に多い

よく「若い人は運転がうまいよね」という話しを耳にします。
当該年齢以外の人が言うならばまだ分かりますが、その「若者自身」が「俺は運転には絶対に自信がある」という人のなんと多いことか、と時代を問わず感じます。

確かに高齢者よりは若者のほうが判断する際、短時間に行えると思いますし、高齢者は急な飛び出しなどに対しての反応時間も遅くなります。これは仕方ないことです。

では本当に高齢者よりも若者のほうが圧倒的に上手いので事故が少ない、のでしょうか?

さまざまなデータがあるのですが、実は80歳以上の事故率と20代前半の事故率はほぼ同じ、と言われています。

事故原因の相違はあるようですが(一例として若年層の方が速度超過の事故が多い、など)おおむね「ほぼ同率の事故率」と言われています。

そしてそれぞれの年代の特徴としては、

高齢者の事故原因の特徴
・加齢による判断力の低下。
・体力や身体能力の低下により頭で判断出来ても行動が追いつかない。
・長年運転して来た過信による。

若年層の事故原因の特徴
 ・免許を取って運転を始めても、運転経験が乏しいのでとっさの飛び出しや他車の無謀運転などに対応出来ず事故回避能力が低い。
言い換えると運転経験の長い高齢者よりも万が一の時にパニックになりやすい。

・思い通りに車を動かせると「俺は上手いんだ」と錯覚しやすい。
→免許を取る前までは他の人が運転する車に同乗するだけだったが、自分で運転出来るようになると「思ったより簡単」とか「実は俺って上手いんだ」という思い込みが発生する。

これは18~20歳過ぎくらいの年齢で免許を取ると人生経験が極めて短く、あらゆる交通ルールとマナー、他人の命や財産についての知識と認識が非常に乏しいので「車は俺の思い通りになる」と勘違いしてしまう人がいる。

(ただし、これらの年齢で免許を取ることは私は良いことだと思っています。知力体力ともに若いうちの方が絶対良いに決まっています。問題は車社会で生きていく社会人としての自覚を持てるかどうか、ということです。)

・友人間でも「○○でXXXkm/h出した!」とか低俗な自慢話しがかっこよいと思う人もいたりする。
速度だけでなくたまに街中でドリフトやって事故を起こしたりもあったりする。

 

思い当たる節はありませんか?
ご自分でなくても周りでこういう話しを聞いたことがある人は多いことでしょう。

だから「高齢者に限って・・・」では決してないのです。

某自動車保険会社のCMで、「一番事故率の低い40~50代の保険料をお安くしました。」とやっていますが、実際はそのとおりなのです。

個人差は非常に大きいのですが20歳過ぎから運転を始めたとして、さまざまな運転経験、そして社会経験を積んだ40~50代の年齢層は知識・判断力ともに人生のピークと言えます。

だから基本的な社会ルール&マナーを守れる人(年代)であれば事故率が下がるのは当然でもあるのです。

(でもいくつになっても他人のことを考えない身勝手なドライバーも街には溢れていますね。やはりそういう人が事故を起こしています。)



ペダルの踏み間違いは普段のクセが原因?

アクセルとブレーキを踏み間違えた、アクセルを強く踏みすぎたなどが近年の大きな事故の要因になっているようですが、これは実は若年層にも多いということをまず頭に入れて置いてください。それを前提に話しを進めます。

あくまでも私の感じたことであり、科学的なデータを根拠にしているわけではないのですが、これらのトラブルを起こす人は「普段からのクセがそのまま出ているだけ」と思うのです。

つまりアクセルとブレーキの踏み間違いも通常問題なく運転している時でも、「おっと!」みたいに一瞬ペダルを間違えてしまったり、あるいは足を置く位置に問題があるなど普段からの危なっかしい小さな問題が積み重なった結果運悪く大事故を起こしてしまう、ということです。

これ↑はハインリッヒの法則で説明出来ます。ご存知のない方はあちこち出ていますので調べてくださいね。

 

結果には必ず原因があり、特に車の運転操作で今までやったことのない突発的な操作が伴うことはほとんど有り得ないのです。
「普段から・・・」というのはたとえば以下のようなものです。

ペダルを真上からドカンと振り下ろすように踏むクセがある。
(当然足の位置の移動量が大きい)

普段から発進時にクリープ現象を使わずにアクセルをガバッと踏んで発進させている。

シフトレバーの操作は「P/D/R」しか使わず、またシフトレバーの位置を確認することも一切しない。
(位置確認はレバーの機械的な位置のみならず、ディスプレイに表示されるポジションの確認もしないを含む。)

まだまだ挙げればたくさんあるのですが、上記の3つだけでも踏み間違いやアクセルの踏みすぎの十分すぎる原因となります。

 

「発進時にドカンとアクセルを踏む」というのは「私が感じた、見た範囲」でいうとご年配の男性、若い女性に多い気がします。
もちろん若い男性にもいますが、クリープ現象を生かして使っていない人が非常に多いです。

もちろん幹線道路の信号が変わってからのスタートダッシュなどはともかくとして、狭い場所での移動や駐車場でもドカンと踏む人が多いです。

昔のATはトルコンのすべりが大きかったので、その時代のクセが残っている人はドカンと踏む傾向があると思いますが、今のATは起動時のトルコンのすべりがかなり小さくなり、車速が上がると直ぐにロックアップする車種が多いのです。

ですから最初はクリープで発進して様子を見ながらアクセルを踏み足すという運転をすべきなのです。

クリープだけでの発進だとごく僅かな坂でも速度が出ませんので、「あれ?動かない?」と勘違いしてアクセルをドカンと踏むんですね。

ご自分にこのようなクセがあるかもしれない、と少しでも不安に思われる方は安全な広場などで自分の車のクリープの状況などを一度チェックされると良いと思います。

左足ブレーキやMT車だと安全か?

最近ペダルの踏み間違い事故が起こる度にTVでは専門家とやらが、

「AT車でもブレーキは左足に分担させれば事故率は下がるはず。MT車全盛時代は左足でクラッチを踏むので左右の足の分担があったのでMT車はペダルの踏み間違いの事故が殆どないのである。」

と言っています。どう思われますか?

私のような車の素人(つまり専門家でない)でも本件に関しては自信を持って声を大にして言おうと思いますが、

AT車でも右足でアクセルとブレーキを使い分けるべき。MT車も右足でアクセルとブレーキを使い分けている。MT車は確かにペダルの踏み間違い事故は少ないが左右の足を使うのが原因ではない。」

と。

ただし、も付きます。それは「AT車に初めて乗った時から(教習所以外)ずっとペダル操作を左右の足で分担させている人を除く」ということです。

こういう方は「AT車とはこういうもの」がしっかり身に付いていますから今更右足オンリーにしろ、というのはかえって危険だからです。
ずっと左右で分担してきた人は今後もその方法を続けるのが一番安全です。

つまりTVで評論家が言っているように、

「今まで右足だけで操作してきた人はがんばって左右の足に分担させなさい」

などは危険極まりない行為であり、とんでもない間違いです。

猛烈に練習すれば誰でも左右の足での操作は出来るようになるでしょう。
しかし車の運転は人命がかかっているのです。そういう重要なことの基本操作をいきなり変えるのは大変危険です。

また現在のAT車は「右足でブレーキとアクセルを操作する」のを前提に作られているのです。

なおMT車は確かにペダルの踏み間違い事故が少ない(皆無ではない)ですが、これは停車時やギアチェンジ時には反射的にクラッチを切ってしまうので、その結果動力が断たれるという事になりますので踏み間違いの事故が少ないのです。

しかし「これからはすべてMTにしてしまえ!」などとネットで書いている人がたくさんいますが、そういう人は真剣に考えているとは思えませんし、「俺は普段MT乗っている。AT限定連中なんてクラッチ操作できないくせに!」なんて過信過剰の事故予備軍が言っている戯言です。

MT車の踏み間違い事故の少ない理由に「操作が複雑で難しいから」という人もいます。

これは完全な間違いです。特に産業用機器などは(乗り物だけに限らず)操作が簡単なほど操作ミスや事故が少ない傾向にあります。
単純なほど人間が監視・操作する項目が少なくなるのでヒューマンエラーが減るのです。

車よりもはるかに操作が難しい航空機や大型タンカー/客船などは世代が新しくなるほど人間が直接操作する項目が減っています。

ですから車もMT車は本当に趣味の領域だけになるでしょうし、AT車は遠くない将来高性能のバッテリー/太陽電池でEV(電気自動車)に置き換わっていくことでしょう。

そしてそれらが普及しつつある時代は自動ブレーキや自動運転(完全自動は多分ないと思うが)も進み安全性はとても高まることでしょう。

ただし「いろんな操作をして思い通りに走らす」はサーキット内でしか出来なくなるでしょうね。
つまらないかもしれませんが人命には代えられません。



北海道特有のペダル踏み間違いはあるのか?

北海道特有、というのはないと思います。
しかし発進時にクリープに頼らずドカンとアクセルを踏む習慣が多少ある気がします。

理由は現在の4WD車の特性とツルツル凍結路面にあります。

別の記事でも書いていますが、現在売られている4WDの9割(以上)は「滑った時しか4WDにならない仕組みです。

これはディーラーの整備担当者からも聞き出しています。

理由は燃費の向上のためです。まったく同じ車種で2WDと4WDの燃費を比較すると10%は異なるそうです。
だから殆どの4WD車は基本はFF(またはFR)で、発進時に一定以上の空転を検知すると非駆動だったタイヤにも駆動力を伝えて一時的に4WDにして発進を楽にするのです。

発進後、または発進時に空転がなければ4WDにはなりません。
車によっては数十km/hの速度になってから空転しても4WDにはならず、あくまでも発進のためだけに徹した車種もあるそうです。

しかし北海道(正確に言うと本州の豪雪地帯なども)の4WDに乗る多くの人はこの仕組みを知りません。

だから凍結のツルツル路面で発進する時など発進が一歩遅れる事に不快感を感じて、ガバッとアクセルを踏む人が多い傾向があります。

もちろん凍結路面で発進時にアクセルを強く踏むのは大変に危険です。
4WDといえでも簡単にスピンしますし、事実ススキノに近い交通量の多い道路で発進時にアクセルを強く踏んで車体の向きが180度変わってしまった車を見たことがあります。

(後続車から見ると前の車がスピンして、フロントをこちらに向けてしまうという恐怖を感じる)

 

結局車を安全に運転するには一にも二にも練習、だけではなくて仕組みを知らないといけないのです。

殆どの方は教習所を出てから仕組みに興味を持つことはないと思います。
興味を持って勉強した人は整備士学校に進んだり、自動車会社などに就職ということになりますね。

でも最低限でも安全に関わる「アクセル」、「ブレーキ」、「ハンドル」、「2/4WDの仕組み」くらいは知っておいた方が良いと思います。

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