北海道の高速道路の特徴
北海道の高速道路を知る
季節問わず北海道でドライブをするにはほぼ必ず高速道路のお世話になるはずです。
理由は土地が広大なので移動距離が本州や九州とは比較にならないほど長くなるからです。
北海道の高速道路で知ってほしい事前知識は冬だけではなくて、夏などの快適な季節でもあえて知って欲しいことがたくさんあります。
もちろん同じ国内なので冬以外では極端に本州の高速道路と異なることはありませんが、やはり北海道ならではの特徴がいくつもあるのです。
一瞬の気の緩みが大惨事になる高速道路ですので、特徴なども知っておいて欲しいです。
北海道の高速道路の概要
道内の高速道路は無料区間や暫定部分開業区間など様々ありますが、中心的存在なのは以下の3路線となります。
(2019年10月1日現在の情報)
▼道央自動車道(道央道)
大沼公園IC~札幌IC(JCT)~士別剣淵IC
▼道東自動車道(道東道)
千歳恵庭JCT~音更帯広IC~阿寒IC
▼札樽(さっそん)自動車道
札幌JCT~小樽IC
その他の高速道路は以下のサイトを参照下さい。
なかでも道央自動車道は最大の幹線と言え、函館(大沼公園ICより)から札幌へ、そして旭川へ、札幌から新千歳空港へなど道内主要部を貫いています。
道央道の路線延長距離は2019年10月現在で697kmにも及びます。
一つの都道府県内で単独の高速道路の延長距離がこれほど長いというのはやはり北海道ならではです。
この距離は東京起点で岡山のやや先、倉敷くらいまでの距離に匹敵します。
しかも地図を見ると分かりますが、道央道がカバーしている地域は北海道の中でも一部分であることが分かると思います。
主要高速道路の車線数
大幹線とも言えるのがやはり道央道、そして札樽道、続いて道東道になります。
しかし・・・、北海道の高速道路は最も車線が多い区間でも片側2車線までしかありません。
(一般道は片側4車線とかもあります)
道内の高速道路も時期や時間帯によってはそこそこ渋滞しますが、あちこち利用して「片側3車線はいらないかな?」というレベルです。
つまり渋滞しても東名阪地域ほどの渋滞はない、ということです。
でも厄介なのは地方に行くと片側1車線かつ対面通行区間が結構あるのです。
高速道路でこの対面通行というのは本当に恐ろしいですね。
緑地帯やしっかりとしたガードレールのある区間もありますが、多くはフニャフニャの樹脂製のポールが立っているだけで、簡単に反対車線に飛び出してしまいます。
またこのような区間の制限速度は70km/hですが、それを守っているのはパトカーと教習所の高速教習車くらいです。
道内高速道路の”そこそこの渋滞”とは?
毎年お盆や年末年始の渋滞予想がニュースで流れますが、北海道だけは報道されません。
つまり渋滞予測発表の対象外地域です。
では事故以外の渋滞は全くないのか?と言えばそうではなく渋滞はあります。
なお渋滞の定義とは以下となっているようです。
Q. 渋滞の定義は?
A.NEXCO中日本/東日本/西日本が管理する高速道路における渋滞とは、
時速40km以下で低速走行あるいは停止発進を繰り返す車列が、
1km以上かつ15分以上継続した状態をいいます。
なお、渋滞長とは上記渋滞状態の車列の長さをいい、渋滞時間とは
上記渋滞状態が継続した時間をいいます。
引用元: 中日本高速道路株式会社 様
https://www.c-nexco.co.jp/corporate/
道内の高速道路も上記に当てはまる区間はいくつかあります。
そしてテレビなどで全国の渋滞情報を報道する番組では北海道は出てこなくても、北海道ローカルの番組では渋滞予測を放送しています。
ではどこの区間が一番混雑するか?ですが、季節により異なりますが一番多いのは(感覚的に)道東自動車道では?と思います。
札幌や小樽圏から遠く離れた夕張前後の区間です。
道東自動車道は札幌から帯広や釧路などの道東に行く大動脈ですが、東に行くほど片側1車線区間も増えてきます。
そして北海道内最大の難所で最大の峠である狩勝峠越え、道内の高速道路で標高が最も高い場所を通り、連続急勾配など険しい区間がありますので、少しでも車の量が増えれば自然と渋滞になりやすいのです。
また道央道に比べて道東道は事故が多い気がします。
それも必ずしも片側1車線区間とは限りません。アップダウンやトンネルが多く、それでいて見とれてしまうほど雄大な風景が広がりますのでそういうことも事故の原因の一つかもしれません。
道東道は季節を問わず要注意です。
早春の岩見沢SA(2018年3月撮影)
北海道の高速道路のSA(サービルエリア)
北海道のSAというとまだ行ったことのない方のイメージは例えば、
1、美味しい特産品が食べられる。
2、北海道、そして地元ならではのお土産も買える
3、広大な土地と自然を生かした広々とした施設
ではないかな、と思います。
答えは「一つ除けばまあまあ当たっている」のが正解です。
まず3つ目の「広々とした施設」は殆どありません。
広々と、というのは北海道最大の特徴に感じますが、SAに関しては砂川SAに隣接した「砂川ハイウェイオアシス」くらいでしょうか?
ここは道立都市公園北海道子どもの国に隣接し、高速道路の上下線から乗り入れることが出来、かつ同方向への折り返しが出来ます。
どういうことかと言うと札幌から来て、こどもの国で遊び、再び高速道路で札幌に戻るということが出来るのです。
北海道こどもの国は大変広大な施設で家族で思う存分楽しめますが、「砂川ハイウェイオアシス」や砂川SA自体は道内ではかなり大きい規模とは言え、初めて行くとがっかりするほどの小ささだと思います。
特に東名高速道路の海老名SAとかを知っている人からすると地方の小さな休憩所的SA、と感じると思います。
その他のSAも極端に小さなところが多く、むしろ一般道の道の駅の方が規模が大きいところが多いです。
ただし「おいしいものが食べられる」、「地元ならではのお土産」は当たっています。
でもあえて言うのであれば、併設レストランも規模が小さいので巨大なフードコートがあったりはせず、レストランが1店舗だけというSAが殆どです。
だから北海道のSAに過大な期待をしてはいけません。
日本最北のSA、道央道・砂川SA(2018年3月撮影)
北海道の高速道路の注意点
注意点は様々ありますが、まずオールシーズンと冬の二つに分けて説明します。
●季節を問わない注意点
様々ありますが思いつくものを箇条書きにしてみます。
・動物の飛び出し
高速道路でも普通にあります。特に多いのがエゾシカです。
彼らは群れで飛び出すこともありますのでこれをやられたら大惨事になります。
↓こんな巨体が飛び出してくる! (写真は札幌市内の住宅地にて)
さすがにヒグマの飛び出しはありませんが、キタキツネやタヌキもあります。
夕暮れ以降は充分な注意が必要となります。
・長大トンネルでの天候の急変
つまり長いトンネルを出たら天気がまるっきり変わっていて豪雨や降雪だったとかのことです。
これは全国どこでも同じかもしれませんが、特に北海道は緯度が高いからか、5月下旬や10月半ばでも雪が降る地域もありますので、天候の急変は他地域に比べて躊躇と思います。
・長距離区間に渡ってガソリンスタンドがないところがある。
道内の高速道路でガソリンスタンド併設のSAは極めて少ないです。
特に道東道の足寄(あしょろ)ICから由仁(ゆに)ICまでの175kmの区間は途中に給油できる場所は一箇所もありません。
これは給油出来ない区間としては日本一という不名誉な長さです(2019年10月現在)。
またこの区間には上述した勾配が長距離に渡って続く狩勝峠がありますので、当然燃料消費率も高くなります。
なおこの区間内の途中にある十勝清水IC利用に限り給油目的で降るのであれば、このICでの乗降料金は取られないという特例のルールが設けられています。
・対面通行区間が結構多い
これも前述していますが、地方区間では片側1車線かつ対面通行区間がわりとあります。
これは大変に恐ろしい区間です。殆どの車は70km/hの制限は守らず100km/h以上でかっとんで来ますが、これにはトラックや高速バスも含まれます。
そして相変わらず居眠り運転の車による反対車線への飛び出しによる正面衝突が絶えません。
これに対処するためにNEXCOと国が中央分離帯の部分に高強度の飛び出し抑制のワイヤーを張る実験、そして工事が進められています。
実験でもこのワイヤーに突っ込んだ車で反対車線に飛び出した車は1台もなかったそうで、かなりの高い事故抑制効果が期待されます。
早く対面通行の全区間に設置して欲しいと切に願います。
●冬に特化した注意点
・規制の速度は守ること
つまり普段100km/hの区間が70とか50km/hとかに制限されることです。
多くの車はこれを無視して通常の制限速度さえもはるかに越える速度で飛ばす車が多いのですが危険極まりないです。
冬の高速道路は除雪の他に驚くほど大量の融雪剤を撒きます。
撒いた直後を走るとむせて咳き込むほどです。
融雪剤は撒いた直後から効果を発揮するのですが、撒かれた融雪剤の密度にはムラがあり、特に路肩は除雪された雪が多くあるので凍結が残っている部分も多いです。
だからこその速度規制でもあるのです。私も50km/h規制の時に65~70km/hくらいで走っていたら部分的に残っていた凍結でズルっと滑って恐い思いをし、「50km/h規制はだてじゃないな」と痛感させられたことがありました。
しかも凍結は直前に目を凝らしても分かりませんからね。
・昼間でもライトは必ず点ける。
吹雪でなくても必ずライトは必要です。昼間でも冬にライトを点けないのは自殺行為に等しいです。
多くのドライバーが勘違いしていますがライトは目の前を照らすためだけではありません。他車から発見してもらうためでもあるのです。
ライトに関して過去何度も行われた多くのアンケートでも殆どのドライバーは「正面を照らすだけのもの」と答えていますが、極めて危険な考えです。
冬でもライトを点けなくてよいのは、「トンネル外で、晴天の真昼」だけです。
・路肩に気をつける
こんなこと当たり前ですが、でも当たり前をせずに事故を起こすドライバーも多いのです。
雪国の道路の路肩は一般道も含めて除雪された雪が山盛りになっており、その付近の路面は雪が無くても雪山が溶け出して、それが凍結したブラックアイスバーンになっていることがあります。
ブラックアイスバーンと単に濡れているだけの路面はどんなに近寄って見ても区別が付きません。
タイヤで乗り上げて、または路面に直接指で触らないと分からないのです。
しかもブラックアイスバーンは恐ろしいほど滑ります。
また路肩の氷にタイヤが接触すると、タイヤとの摩擦が極端に小さいので車体が滑ってどこに弾き飛ばされるか分かりません。
これは4WDでも無関係です。
北海道の高速道路は冬季、路肩と中央分離帯付近にその場所が遠方からも分かるように緑色のライト(LED)が一定間隔で設置されています。
これを頼りに走るのですが、その直下の凍結状況までは全く分からないのです。
また 吹雪などで視界が悪くなるとこの緑色のライトのほかに黄色のライトも同様に点灯して注意を促すようになっています。
さらに天候が悪くなるとついには通行止めとなり、途中のICで無理やり降ろされます。
通行止めのの一歩手前では既にホワイトアウト状態になっていることが多いので、冬の北海道の高速道路の利用は覚悟がいるのです。
↓このようなホワイトアウトが高速道路の本線上で起こる!
北海道の高速道路はやはりみんな飛ばす?
一般道では50km/h制限でも平気で100km/h以上で飛ばす車が多いですが(多くのドライバーの結末は検挙か死亡事故だが)、北海道の高速道路はどうなのでしょうか?
これはあくまでも私の個人的感想ですが、北海道の高速道路のペースは首都高や東名高速、東北自動車道に比べると遅いと思います。
もちろん中にはバカみたいに飛ばす車もいます。でも平均的な流れはそれほど速く感じません。
これは東京出身の私の理解に苦しむ部分です。
基本はどのくらい出す、とかではなくて法定速度をきちんと守ることです。
季節を問わず以外に覆面が多く、よく検挙されているのを見かけます。事故が起きてからでは遅いのです。
やたらと飛ばす車は?
まず全国的に同じと思われる営業用のライトバンと社有車のワンボックスです。
ほぼ例外なしに飛ばしますね。危険極まりないという乱暴なドライバーも多いです。
次に危ないのは都市間バスや観光バスです。
都市間バスは定期ダイヤがありますので、当然制限速度を守ったダイヤで国に申請していると思うのですが、実際は「何km出しているんだよ!」と言いたくなるほど飛ばします。
これは観光バスも同様です。
あの巨体がすごい勢いで横を抜いて行くのは恐怖でもあります。それでいてこれらのバスの高速道路上での事故は殆ど聞かないのが不思議です。
むしろ一般道で事故を起こしているようですね。
以上、書いてきたように広大な北海道のドライブには高速道路は欠かせません。
そして未経験の方には事前情報も欠かせないとおもいます。高速道路をルールとマナーを守って使えば快適で楽しい旅行の思い出になるはずです。
しかしあなたがどれほどルールとマナーを守る方であっても、初めての冬の北海道での高速道路はあまりオススメできません。
いきなりのホワイトアウト、ツルツル滑る路面など事故と隣り合わせの出来事が多く待ち構えているからです。
これは一般道でも同じと言えば同じですが、少なくても初めての冬のドライブでは考えたほうが良いかもしれません。
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