冬の北海道の道は滑るの?滑らないの?
冬の北海道の道への大いなる誤解
本サイトではあちこちに「冬道は滑るから・・・」と書いて説明してますが、あるサイトの記事で「冬の北海道の道は滑りにくい」と書かれているものを見つけました。
結論を言うと冬の北海道の道はとても滑ります。
読んでみるとその記事はほぼ全て間違えであり、これから冬の北海道で運転をしようとする人に大いなる誤解を与えてしまうと思い、本記事にその記事の間違えと誤解などを書こうと思った次第です。
冬の北海道の道の滑る滑らないとは?
その記事の内容の抜粋は以下のようなものでした。
1.冬の北海道は大変に気温が低く、-20度とかが当たり前なので、氷の表面の水分も凍ってしまい凍結路でも本州に比べて大分滑りにくい。
2.北海道の雪は本州と異なり水分量が少ないサラサラのパウダースノーなので、道に雪がたくさん積もっても滑りにくい。
上記2つは百歩譲って言えば「半分しかあっていない」ということです。
冬の北海道を知らない人は上記を読めば、「なるほどね。では雪道に慣れていなくても恐くないね」と思う人が多いと思います。
もし「恐くない」と思った方がいたら、この時点でその考えを捨てて頂き、「冬の北海道の道はとてつもなく滑り、とてつもなく恐ろしい」と考えを改めて頂きたいです。
気温が低いと道路は滑らない?
実はこの考えは半分は当たっています。
経験的には地上50cm~1mの高さの気温が-6~-8度以下になると凍結路でも滑りにくくなります。
先ほどまであれほどツルツルだった路面が「あれれ?」と思うほど滑りにくくなることがあります。
冷凍庫の氷を手で触ると滑らないどころか皮膚にくっついてしまうことがありますが、冷凍庫から出した状態で触ると表面が融けてきてツルツル滑って持つことが難しくなります。
これと同じことで、ある低温下になると氷の表面の薄い水分が凍って触っても滑りにくくなるのです。
氷が滑るのは表面に薄い水の膜が出来るからです。
では、「充分に低温になれば絶対に滑りにくくなるのか?」と言ったら、そうはなりません。
地面の凸凹、一部のみ車のタイヤが集中的に通過する箇所(轍など)、部分的に凍結の氷の厚さが変わっている場所などの多くの条件によって-10度以下になってもツルツルの箇所は発生し、滑る時は豪快に滑ります。
だから物凄く冷え込んだ日(時間帯)でも絶対に油断してはいけません。
北海道の雪はパウダースノー?
正しく言うと「パウダースノーの時もある」となります。
確かに東北や北陸に比べて北海道の雪は水分含有量が少なくサラサラのパウダースノーが降るのは事実です。
だから北海道の雪では雪合戦が出来ない、「かまくら」を作れない、などと言われるのです。
しかし12月の根雪になる時期、2月末~3月上旬の気温が高い時期はパウダースノーは降らず、本州のようなべちゃべちゃのシャーベットみたいな雪が降ります。
このような雪は驚くほど滑り、少しでも速度が出ているとブレーキやハンドルも効かなくなります。
沼に足を取られたみたいな感じです。
北海道の冬のピーク、つまり最厳冬期は1月~2月上旬ですが、この時でもべちゃべちゃ雪は降りますし、札幌は毎年1月半ばに数日間雨が降ります。
雪ではなくて雨なのです。しかも一面の雪景色なのに雷鳴も轟きます。
気温が低いのは変わらないので雨が降った後は雪が融けて再凍結して、さらにツルツルになり恐ろしいほど滑ります。
↓こんな感じになり、歩く時もスパイクが付いた靴でないととても歩くことは出来ず、車も停止寸前くらいまで速度を落とす必要があります。
(4WDでも変わりません。)
またパウダースノーだけが積もった路面であっても滑る時は豪快に滑ります。
理由は道路に積もった雪の下にツルツルの氷の山が隠れていて、積もった雪の厚さが薄かったり、車重によって雪が撥ね退けられてタイヤが直接氷の上に乗っかるということもあるのです。
多少水分を含んだ雪はタイヤで踏み固められて、しっかりとした圧雪になって滑りにくくなりますが、サラサラのパウダースノーだと下の氷が露出しやすくなるのです。
また圧雪であっても、氷がむき出しになっていたり、スタッドレスタイヤで道路はピカピカに磨かれるので、鏡面のようになって雪が被っているのに滑る、ということも起きます。
冬の北海道は-20度が当たり前?
とんでもない誤解です。確かに平地でも道東や道北に行けばこのような気温、もしくはもっと低くなります。
札幌近郊でも山中に行けば普通の気温になります。
でも道東や道北の街でも決して当たり前の気温ではありません。
「-20度、-30度(以下)になることもある」が正解です。
連日このような気温になる町もありますが、冬の間中ずーっとこのような気温はありえませんし、雪が降った後に晴天になると放射冷却で気温がぐっと下がりますが、それでもある程度まで下がれば、今度は太陽の輻射熱で気温はやや上昇をします。
札幌も山中や住宅まばらな郊外に行かなければ、厳冬期でも-10度か、それを少し下回るくらいです。
札幌を始めとして、北海道は年々気温が上昇し、雪の量も減ってきているのです。
だから「何処の町も-20度が当たり前」なんていうウソに騙されないようにしましょう。
まとめとして、一番知って欲しいのは「北海道の雪は常にパウダースノーではない」ということです。
また気温だって一日中、全ての都市で-20度なんてありえません。
先述したように札幌は毎年1月半ばに数日間土砂降りの雨も降るのです。
「・・・だから冬の北海道の道は滑らない/滑りにくい」なんていうのは真っ赤なウソです。
恐らくそのような記事を書いた方は冬の北海道を知らないのか、或いは過去冬に来た時にたまたま気温が低く、かつパウダースノーの日で滑りにくかったので、そのように感じたのかもしれません。
また余談ですが、企業の発行するサイトに寄稿するライターさんたちは、皆お金を貰って「このように書いて」と指示されたとおりに書いていますから、本人は真実を知っていても、わざと言われたとおりのウソを書くことも普通にあるのです。
芸能人のでっち上げ記事なんかが代表例ですね。
少し脱線もしましたが、とにかく冬の北海道はどこもかしこも滑ります。
さらに数m先が真っ白で見えなくなるホワイトアウトもあります。
条件が厳しい時に運転せざるおえない方は、とにかく最新の注意の元に運転をされるようにお願いいたします。
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