冬場はパーキングブレーキをかけてはいけないのか?
冬にパーキングブレーキをかけないのは常識?
冬はパーキングブレーキが凍結するのでかけてはいけない、という話しが大昔からあります。
最初は「そうなんだ」くらいしか思っていませんでしたが、東京から引っ越して来る時に「なぜなの?大丈夫なの?」と思い色々と調べてみました。
知った疑問点と矛盾点を書いてみます。
● パーキングブレーキをかけなくても通常のブレーキは凍らないのはなぜ?
● AT車のPポジションに入れても、Pポジションが凍ったという話しはないがなぜ?
● Pポジションだけで坂道で止めるのは危険と聞いているが冬はどうしているの?
● 一部の高級車はPポジションに入れると自動的にパーキングブレーキも同時にかかるものがあるが凍らないの?
● 雪国で暮らす人の意見は「かけてはいけない」という人と、「-30度になる地域に住んでいるが凍ったことはないしかけるべき」という人がいる。
そして「某自動車会社でメカ系の設計をやっています」という方の書き込みを見つけたところ以下の説明がありました。
パーキングブレーキは凍りません。
凍って解除できなかったというのはパーキングブレーキが凍ったのではなくて、運転席から後部ブレーキに伸びているブレーキワイヤーを保護する筒の端に穴が開いたり破損してそこから水や雪が入り凍結してワイヤーが動かなくなるのです。
古い車やボディ下部を何度もぶつけた車は注意する必要があるかもしれません。
不安であれば気温の低い日はパーキングブレーキをかけずにPポジションに入れて4輪に車止めをして下さい。
なお夏場も含めてPポジションだけで駐車することは絶対にやめて下さい。
Pポジションはパーキングブレーキの補助的なもので、車両の挙動を止めるほどの能力はありません。
と技術者ならではの説得力のある説明でした。
高級車でPポジションに入れると同時にパーキングブレーキがかかるというのは電動であって、運転席から機械的なワイヤーが伸びているわけではないんですね。
Pポジションの仕組み
またPポジションですが、これは「変速機を機械的にロックする」くらいの認識しかありませんでした。
でも調べると実に簡素な構造なんです。
車種によると思いますが、一言でいえばギアの歯の一部に爪が引っかかるだけなんです。
だから車両の挙動を止める能力が無いというのもうなずけます。
仕組みの説明をすると以下のようなものとなります。
(クリックで拡大)
確かにPポジションだけでも車は動きませんよね。
でも坂道だったら長時間静止状態を保つのは不安を感じますね。
Pポジションの機構には大きな力がかかることが想定されていないそうです。
ですから何かのきっかけで簡単に外れる可能性だってあるんですね。
バスやトラックのPポジションは車種にもよりますが、Pに入れてもミッションの機構的ロックが働かないものもあるそうです。
この場合はパーキングブレーキだけとなります。
ではどういうことかというと、この手の車はミッション自体にPポジションの機構が組み込まれていない物もあるそうです。
ですからPに入れるとギアがニュートラルになると同時にパーキングブレーキがかかるという仕組みだそうです。
理由はミッションのロック機構だけでは重たい車両を止める能力が無いからです。
一般的な乗用車も実は車体をしっかりと止めておくだけの能力がPポジションにはないという事を忘れてはいけません。
パーキングブレーキの扱いの不思議と悲劇
私は車検や半年ごとの点検もディーラで行っていますが毎回点検に出すたびに不思議な事を言われます。
「パーキングブレーキは使わないと思いますが一応点検しておきました。」
「お客さんはパーキングブレーキ使うんですか?ケーブルがやや伸びていたので調整しておきました。」
メーカ系のディーラでこんなこと言われていつもビックリします。
私はずーっと東京・横浜での生活なのでPポジション+パーキングブレーキを同時にかけるものだと思っていたからです。
(でも同時にかけるのが正解)
ディーラで「私はいつも両方かけますが、冬に凍るんですか?」と聞いたら、「凍ることもあるので北海道の人はかけません。」と言うのです。
これもビックリでした。
前述の設計者の方と全く違う意見ですね。
ちなみに私は真冬でもパーキングブレーキをかけます。
凍ったら凍ったでその時だ、と思っています。
安全が一番ですから。
ただほんの少しの気持ちの問題なんですが夏場よりは若干緩めにかけています。
駐車場が平坦だという事に少し甘えています。
最近の車のパーキングブレーキは殆どが足で踏むペダル式なので運転席を覗いてもかけているかどうかわからないです。
でも恐らく殆どの方はかけていないようです。
また夏はかけるのか?というと冬の習慣をそのまま使って夏場もパーキングブレーキはかけていないようです。
◆ パーキングブレーキをかけないことによる悲劇
実はかけないことによる悲劇を報道で知りました。
記憶の範囲では2件ありいずれも夏場だったと思います。
1件目は坂でPポジションだけでパーキングブレーキをかけておらず、じわじわと車が坂を下りだして途中から速度が上がり坂の下の民家に無人車が突っ込んだというものです。
想像ですが途中から速度が上がったというのは、その時点でパーキングブレーキ用の爪が完全に外れたのではと思いました。
もう1件は自宅の駐車場がやや坂になっていてそこにPポジションのみで止めて子供と休日の洗車を楽しんでいたらいつの間にか動き出して子供が車の下敷きになって亡くなったという悲しい事故です。
親は一生後悔と懺悔の日々となるでしょう。あまりにも悲しいです。
これもパーキングブレーキをかける癖をつける、または車止めを付ける癖をつけるということをしていればこうはならなかったのです。
車の説明書にも「冬はパーキングブレーキはかけないでください」なんて書いてありませんし、1年中使わないものをメーカがお金をかけてつけるわけがありません。
車は免許さえとれば誰でも簡単に運転できますが、やはり構造や特性はしっかりと頭に入れなければいけないと思います。
皆さん!パーキングブレーキをかけましょう!
冬場不安であれば車止めを使いましょう!
Pポジションでは車を支えられません!
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