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北海道でのドライブと野生動物

北海道でのドライブと野生動物との遭遇

今年(2025年)は全国的に驚くほどクマの出没・被害が多数ありましたね。
中には死亡事故もあり、必ずしも深い山中の出来事ばかりではないという恐ろしさでした。

理由は分かりませんが北海道よりも東北の方が圧倒的に目撃や被害が多かったのですが
北海道でも市街地での目撃や被害が増えています。
特に北海道のみ生息するヒグマは本州のツキノワグマよりも体が1.5~2倍も大きく
凶暴さでも比較になりません。

住宅地を歩いていても遭遇する危険があり4年前には札幌市の住宅街でしかも地下鉄駅なども
近い場所で人が襲われました。この時は開店前のイオンに入ろうとしたり札幌駅から
わずか2㎞の地点まで迫ったのです(その後駆除されました)

住宅街でもこのありさまなので、田舎や観光地に遠出する際のドライブには相当気を付ける必要があります。

ヒグマやエゾシカとぶつかると大型SUVでさえ走行不能になるほどの被害を受ける事もありますし、ヒグマだと生死にかかわる人的被害が発生する可能性もあります。

野生動物とのいきなりの遭遇と対処

本記事では北海道での事を中心に書いていますが、本州でも対処方法はほぼ同じと思って読んで頂ければ幸いです。

●ヒグマ
特に親子連れは非常に獰猛で攻撃的な事が多く大変危険。
道路に飛び出して来るというよりは「たまたま、偶然出くわした」という事例が殆ど。

特に活発なのは冬眠から覚めた春先と冬眠に入る前に大量のエサを探し回る9~11月末頃までの季節。
この時期は特に親クマがイラついていることも多く、不要不急ならば山林や山中、人里離れた道は走らないことが賢明。

万一出くわしたりこちらに向かってくる場合でもパッシングしたりクラクションを鳴らさないこと!

相手もパニックになっていることが多いのでより刺激し攻撃的にこちらに向かってくる。
ドアロックを再確認し(ドアノブに手をかけて開けられる事もある)、窓を閉めてゆっくり後退する。

さほどこちらに興味を示さず道路脇の方に向かった場合は、クマとの距離を最大限確保しながらゆっくり前進し、その場を離れるのが良い。

ある程度大型の車でアクセルを吹かしてヒグマに体当たりしてもやられるのは「こっち」だと思ってください。
時に走行不能の故障になります。深い山中でそうなったらどうしますか?
またフロントガラスを突き破って車内に侵入される危険さえあるのです。

 

ヒグマの恐ろしさはニュースやネットの写真などでもご存じかもしれませんが、特に恐ろしい事を以下に数点列挙します。

・体重/体長も本州のツキノワグマの1.5~2倍はざらで、体重400㎏の個体も何度も捕獲されている。

・重量300㎏の鉄製の箱罠を簡単に転倒させる。

・体重200㎏の牛の背骨を折って体を真っ二つしてしまう。

・長さが10㎝超にも及ぶ巨大な爪で最初に獲物(人間も)の顔面を狙ってくる。急所だと知っている。
人間は顔が剥がれて無くなり即死、または大手術しても両目失明で一生家にこもるような生活になってしまう可能性が大きい。
一撃で首が吹き飛んでしまった被害も過去にはある。

→秋田大学医学部のレポートでクマに顔面を攻撃された患者の修復手術のレポートがありましたが、医学者用のものなので見るに耐えないほどのものでした。敢えてリンクは載せませんが「これほどでも人間は生きているのか?」と思うほどの怪我でした。

・頭部含めて彼らの体は非常に強固でクマ撃ち用のライフル弾さえ跳ね返すほどの頭蓋骨を持っている。
相当なベテランハンターでないと仕留める事は不可能。

 

以下は2011年、札幌の郊外の定山渓温泉近くの林道で撮影したものです。
子どもとバードウオッチングに出かけ、野鳥が多くいるという情報を元に国道230号線(札幌中心部と定山渓温泉を結ぶ幹線道路)からほんの100mくらい入った場所です。野鳥ウオッチャーには割と有名な場所のようです。

撮影時は分からなかったのですが、帰宅後何気なく写真を拡大したら数十m先に4つ足の黒い物体がこちらを見ていました。
もちろんヒグマ以外ありえません。恐ろしさで全身が凍り付き、「襲われなくてよかった・・・」と胸を撫でおろしました。

(以下の2枚の写真はクリックで別ページ/タブで拡大表示されます。)

↑赤丸で囲んだ部分にご注目下さい。

↓こちらはその拡大写真

北海道でのヒグマの出没は全国ニュースでもよくやっているのでご存じの方も多いかと思います。
先述したように地下鉄駅の近くでも目撃されたり、イオンに入ろうとしたりする個体もいます。

これほどの土地なので札幌市では(多分他都市も同様と思われる)小学校4~5年生になると「ヒグマ講座」の授業があります。

以下は私の子どもが学校からもらって来た時間割の一部です↓
札幌市でさえこれほどヒグマが身近であることがお分かりかと思います。

(クリックで別ページ/タブで拡大表示されます。)

 

●エゾシカ
エゾシカは体が非常に大きく、奈良公園のシカと比べると視覚的に倍近い大きさに見えます。

北海道の動物はクマ、シカ、キツネなどは本州の同種のものよりもかなり体が大きいものばかりです。
寒冷地の動物は体温保持などが理由で温暖な地域に生息する同種の動物よりも体が大きくなる、という法則があるそうです。

これはベルクマンの法則というそうですが、興味のある方は以下をご覧下さい。

ベルクマンの法則 (Wikipedia)

エゾシカとの遭遇はある意味ヒグマよりも厄介です。
というのもエゾシカは群れでいきなり目の前を横断しようとするからです。
例え車の直前であろうが、車の側面に体当たりであろうが巨体が複数体いきなり飛び出して来ます。

カラスとかサルとかであれば車と衝突を避けようとしたり、車が通り過ぎた後に横断したりしますが、エゾシカは巨体の割に「お頭」があまりよろしくないのか本当にいきなり飛び出します。

以下は約5年ほど前に太平洋側の苫小牧市のはずれの道で目の前に飛びだして来た個体群です↓

(写真はクリックで別ページ/タブで拡大表示されます。)

この時の車との距離は50mくらいだったと思います。
右方向に駆け抜ける3頭が確認出来ますが、実はこの直前6頭が右から左へ走って横断したのです。
距離はあったのですがブレーキを踏んで十分に減速したのですが、今度はそのうち3頭が右側に戻ったのです。

なぜこんな行動をしたのか分かりませんが、とにかく(人間から言わせれば)何も考えずにいきなり飛び出して来ます。
車などとぶつかってしまう、など考えもしないで突進して来ます。

ではどうやって防ぐか、というと結論は防ぎようがありません。
上記の写真のように開けた道であれば前方左右を常に注力し走る、という事は出来ますが左右に木々などがあったりカーブの途中だったら何も見えないので衝突する可能性が極めて高くなります。

左右が開けた田舎道だとどうしてもスピードも出がちなので余計発見が遅れてしまいます。

エゾシカにぶつかったら車は自走不能を含む相当な被害を受けます。

唯一エゾシカとの衝突を防ぐ手段として鹿笛の装着があります。
これは人間には聞こえない周波数の音を出す装置で、これを付けているといきなりエゾシカが飛び出して来る危険を低減出来るそうです。

しかしあくまでも低減であって完全に防ぐことが出来るわけではありません。

北海道内のレンタカーは数年前から鹿笛が装着されており、車を借りる時に教えてくれるはずですし、運転席に「鹿笛装着車」と表示されている車両もあります。
特別な操作は一切不要なので運転中に気にする必要はありません。

なおマイカーに対しても鹿笛を簡単に装着することが出来ます。
一般に売られている商品は両面テープで装着するだけで、走行風でシカが逃げるような音(人間には聞こえない)がするそうで、使用者のレポートを読むと完璧でないにしろそれなりの効果があるようです。
一部の製品は12V 電源でより効率的な効果が得られるものもあるようです。

鹿笛は簡単に購入できます。

(↑Amazonアソシエイトにジャンプします)

以下の写真は2008年に知床で撮影したものですが、知床や道東に行くと以下のような光景は日常的に見れます。
こんなのが群れでいきなり目の前に飛びだして来るのです。

(写真はクリックで別ページ/タブで拡大表示されます。)

 

●キタキツネ
北海道にいるキタキツネ(英名:Ezo red Fox)は札幌市内の住宅地でもどこでもいます。
札幌駅脇の駐車場でも目撃されているほどです。

見た目はとても可愛らしいのですが、彼らの5~7割はエキノコックスという恐ろしい寄生虫を宿しています。
彼らは比較的人懐っこいのですが、体を触られることを嫌がります。

しかし彼らにふと触ったり、低い位置にある植物などを触った後に自分の口付近を触る、沢の水を飲む、雪を食べるなどをするとエキノコックスに感染する可能性が高まります。
感染すると10~20年の潜伏期間を経て多くの場合この寄生虫に肝臓を食われ、時に血液に乗って脳を食われることもあります。

治療法はありますが、適切な治療をしないと極めて高い致死率もあるようです。
(放置した場合の5年後の生存率は30%)

ところで彼らはエゾシカのように群れでいきなり飛び出すことは殆どありません。
家族で生活していますが、道に飛び出すのはほとんどの場合1匹です。

エゾシカと異なるのは「何も見ず、確認せず目の前に車がいても体当たりはしない」という点でしょうか?
車が近づけば慌てて逃げたりします。しかし人間のような高度な観察能力などは無いので「たまたま」目の前に飛びだすこともあります。

幸い私はギリギリのところで飛び出されたことはありませんが、2~30m先に飛び出して来たというのは札幌市内でもしょっちゅうあります。
特に夕暮れ以降多いです。

ごくたまにですが幹線道路でキタキツネの死体を見かける事もあります。

↓積丹半島近くの一時停止の標識で停まったら近寄って来た個体。
彼らは近寄って来ても人間とは一定の距離を保つことが殆ど。
(写真はクリックで別ページ/タブで拡大表示されます。)

 

●タヌキ
タヌキの場合非常に厄介な事があります。
それは非常に足が遅いのに片側3車線とかの幹線道路に飛び出してくるのです。

一度目の前に飛びだされたことがあります。
千歳市の郊外を走っている時に茶色っぽい毛玉が右から左に向かって目の前に飛びだして来ました。
やや渋滞気味だったので速度は40km/hも出ていなかったと思います。

毛玉なんだけど4本脚が生えていて、短い脚がせわしなく動いていました。
まず9割方タヌキだったと思います。

足の動きは速いのに短いからすごく遅いんです。
ブレーキを踏んで減速したので事なき事を得ましたが背筋が凍る思いでした。

タヌキは日本中どこでもいます。
またこの時はもしかしたら、ですがアライグマの可能性もあったかもしれません。
アライグマはペットが放置されて自然界で繁殖をしたのですが、今や北海道も含めて全国にいます。

運転席からだと狸とアライグマの区別は付きませんが、いずれも足の動きに対して速度は遅いです。

幹線道路でそんな遅い動物に横切られたら衝突の可能性が高くなります。
でも防ぎようがない、というのが事実なんですね。

 

クマを始めとする野生動物の被害は全国的にあります。

正直目の前に飛びだされたらどうしようもありません。
せめて車に乗車中ならば命の危険回避がある程度出きる、という程度と思っていた方が良いです。
以上から野生動物との遭遇で被害にあわない、あっても最小限にするための事をまとめておきます。

 

・不要不急であれば山林や山中の道路は走らない。

・道路の状況はどんな場所であれ左右の草むらなどに常に気を配る。

・(特に)クマに遭遇した場合は決してクラクションを鳴らしたりパッシングをしたり、アクセルを必要以上に吹かさない。

・ドアは必ずロックし、窓も閉めて車から降りない。クマ以外のキツネなど危険が殆ど無い動物であっても同様。

・明け方と夕暮れ以降の郊外での走行は必ずライトを付けて慎重に運転する。
先行車や対向車がいない場所では必ずハイビームにする。

・動物に絶対に食べ物をやらないこと。

以上当たり前の事ばかりですが、守らないと携帯電話も繋がらない深い山中で車が走行不能になることもあるのです。

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