春先の車の洗車と手入れ
春は1年で最も車が汚れる季節
北海道を走る車が一番汚れてしまうのが春先です。
理由は大きく分けて以下の2つがあります。
●冬季間、道に大量に撒かれた融雪剤で洗車をしないと車が白っぽくなり、濃い色の車だと白染みが非常に目立つ。
●3月に入り雪が溶け出すと、融けた雪に車が運んで来た泥が混じり、真っ黒となった雪が車体に付着して車が見るも無残な姿になってしまう。
以上は洗車をすれば綺麗に落ちますが、よほど車に思い入れがあるか綺麗好きの方でない限り冬季間はそうそう洗車はされないと思います。
また外側から見た汚れのみならずタイヤハウス内にはごっそりと大量の泥が付着し、ホイールも悲惨な状況に汚れます。
タイヤ自体も道路に撒かれた滑り止めの砂(実際は小石)がタイヤの溝に大量にはまり込んでいることが多いです。
札幌や函館といった温暖の都市ならばともかく、3月下旬~4月半ばにまた大量に雪が降る地域もありますから洗車は手入れの時期に悩むのも春先なのです。
春先の洗車は?
汚れたら洗車する、当然のことです。
しかし春先の北海道での洗車でちょっと気を使って欲しいことがあります。
それは「下回り洗車」です。
冬は大量の融雪剤を道路に撒くと説明しましたが、この白い粉は「塩化ナトリウムやカルシウム」なのです。
つまり大量の塩を道路に撒いています。
ですから車体に傷があって鉄板がむき出しになっている部分に付着したままだとそこから錆びて行きます。
簡単に錆びてしまうわけでもなくて、一冬~二冬くらいでは錆びることは殆どありません。
(新車基準)
しかしこの塩系の融雪剤は下回りの細かい隙間に入り込むと容易に取り除くことは出来ず、そこから錆が発生し、さらに車体を腐食させてしまいます。
北海道で2~30台に1台くらいはボディが酷く錆びた車を見かけますが、これが融雪剤による錆びです。
↓こんな深い雪道でも大量の融雪剤が混じっている・・・
特に業務用車両、トラックなどは多くて鉄板に穴が開いている車両も見ることが出来ます。
お客さんを乗せるわけでもないので殆ど洗車もしないのでしょう。
ガソリンスタンドに行くと通常の洗車にプラス100~200円で「下回り洗車」を追加することが出来ます。
手洗い洗車のみならず、洗車機での洗車でもたいてい行えます。
しかし完全ではないので心配であればディーラでやってもらえばよいと思います。
お店にもよりますが、私がお世話になっているディーラでは「下回りを含めた手洗い洗車コースで3000円」とか言っていました。
手洗いだと高いと感じますが下回りも手洗いで丁寧にやってくれますので、ジャッキアップも含めて考えれば安いと言えますね。
下回り洗車はどのくらいの頻度がよい?
気になるところですが、車の雑誌で「北国に住んでいるのであれば冬季間、1週間に1~2度は必要。」とか読んだことがあります。
「え~!」と思う頻度ですが、北海道に引っ越して来た直後にディーラに聞いたのですが以下の回答でした。
・下回り洗車は冬季間に遠出をしなければ(普段家の近所の買い物や送迎だけならば)、春先に1度やればよい。
ただし1度だけであればなるべく細かい部分まで洗浄出来る手洗いをお薦めする。
・高速をたくさん走ったり、遠出が多かったら月に1度程度洗浄すればよい。
・しょっちゅう下回り洗浄をすると逆に車の腐食を早めることがある。
理由は水分が底面板金の隙間に入り込んで、冬季は乾かないうちに次の洗浄でまた濡らされてしまうからである。
そうでなくても冬季は底面に雪や氷が春まで付着している事が多いので、頻繁な下回り洗浄はさらに追い討ちをかけることになる。
そもそも塩の融雪剤が付着しても板金に直接触れるような傷が無ければ急激に錆びる事はない。
ということでした。
私の車は関東で買ったものをそのまま北海道に持って来ているだけですが、北海道で新車を買う人の7~8割は購入時にディーラで、「下部コーティング」という腐食防止剤を塗るので、底面を何度もぶつけたりして傷だらけにならなければそんなに錆びるものではないとも言っていました。
(下部コーティングは基本的に新車購入時しか出来ない。またエンジンやマフラー部分、ゴムの部分などにはコーティング出来ない。)
↓こんな些細な傷からも錆びは広がる。
錆止め剤の塗布とタッチペンの補修が有効。
春先の車の手入れ
春になって「もう雪は大丈夫」と言える段階まで細かい手入れは待った方がよく、普段は札幌などの雪が姿を消した街中しか走らなくても、たまに峠に行く、という方はなるべくGW明け~5月中旬まで待った方がよいと思います。
元もとの道民の方ならばお分かりと思いますが、峠によってはGWでも猛吹雪で閉鎖される箇所もあるからです。
さて手入れに関しては以下に着目して頂ければと思います。
(通常の車体洗浄、下回り洗浄以外)
■ホイールとタイヤハウス内の洗浄
これらには目立たなくてもたっぷり融雪剤を含んだ泥が付着しています。
■ワイパーの洗浄
通常の洗車をすればワイパーも綺麗になるのですが、ブレードの隙間などに融雪剤が入り込んでいることがあります。
夏用ワイパーに換えるにせよ、可動部を中心にしっかりと洗浄しましょう。
ワイパーの鉄の部分が物凄く錆びている車も北海道では見かけます。
■タイヤの溝
しばらくスタッドレスを履き続けるにせよ、直ぐに夏タイヤにするにせよ、冬季間使ったタイヤの溝には道路に撒かれた滑り止め用の砂(小石)がたくさん挟まっているはずです。
何かの金属棒(プラスドライバーなど)などを使って丁寧に落としておくべきです。
■フロアマットとペダル
実は車内も冬は汚れる季節です。融雪剤はもちろん泥と混じった雪が付着した靴で乗り込むからです。
特にフロアマットにはタイヤと同じく滑り止めの砂(小石)がたくさん付着している事も多いので取り除きマットごと洗浄しましょう。
アクセル、ブレーキペダルも泥が固まりになって付着して滑り止めの溝が埋まっていて危険なこともありますので要チェックポイントです。
■エンジンルーム
エンジンルームに派手にホースで水をかけるわけには行きませんが、驚くほど汚れていることに気が付くはずです。
夏だけではありえないほど汚れます。
しかも一番錆びては困る箇所なのにエンジンルームの下はぽっかりと空いていますので、融雪剤の入り込みも相当な量となります。
見える範囲、出来る範囲で洗浄したほうがよいでしょう。
豪快に水をかけたりせず、水に塗らした柔らかい柄付きのブラシなどを使えばよいと思います。
その際、「必ずキーが抜いてあること。」、「Pポジションでパーキングブレーキが掛かっていること。」、「配線類に引っ掛けないよう。」、「電気の接続部(コネクタ)に水が掛からないように。」などの配慮が必要です。
こちらの記事でも書いていますが、生粋の北海道民は過半数の方は凍結を恐れて坂道でもパーキングブレーキをかけず、たまにそれが原因で動き出して大変な事故を起こすことがあります。
必ずパーキングブレーキはかけるべきです。詳細はこちらの参考記事をご覧下さい。
冬はエンジンオイルが汚れる?
何かの記事で「冬はエンジンオイルが汚れやすいので夏よりも早めに交換すべき」と書いてありました。
自動車評論家が書いた記事ですが、自分で考えてもあちこち調べても結論から言うと、
冬はオイルがやや汚れやすいかもしれないが、交換時期は夏と同じでよい。
が正解のようです。
「やや汚れやすい」というのは無責任にも取れますが、説明すると
・冷却水水温が下がっているとECU(エンジン制御コンピュータ)がエンジンを適正な温度で運転するためにアイドル回転数をやや上げて水温を早く上げる制御が働く。
(適正な温度でないと、排ガスや燃費に影響が出るため。)
・寒冷地や降雪地ではガラスの凍結を除去する為にデフォッガー(デフロスタ)を使う時間が長くなりがちなので出発前や停車中のエンジン使用時間が長くなり、かつその時の回転数は走行時よりも高くなることが多い。
これはハイブリッド車でも同様。
・リモコンエンジンスタータにヒータを連動させている場合は、乗り込む前からエンジンが掛かりっぱなしになる。
などの理由によりエンジンが普段よりも高回転で回り、かつ停止中でも高回転のアイドリングが多くなるということで、結果としてオイルが汚れやすくなるということに繋がるのだと思います。
しかしこれらにより「冬は早めにオイル交換すべき」という理由にはならないと思います。
寒冷地で長期間同じ車を乗り続けた場合でも冬はオイルが汚れやすかったなんて聞いたことありません。
これについてどう思うかはあなた次第ですが、早めに交換したところで何も変わらない、せいぜい「変わった気がする」くらいの事でしょう。
油脂類の交換周期はメーカー指定の時期でよいのです。
もちろんメーカーが指定するシビアコンディションに該当するのであれば、交換周期は短くなりますが、その旨も車の説明書やメーカーサイトに書いてあるはずです。
メーカーや車種にもよりますが大体オイル交換は10000kmごとが多いと思いますが、一部の評論家の意見や自動車用品店が進める「2~3000kmごと」なんてことはありません。
ディーラーは会社にもよりますが5000kmまたは半年を推奨しているようですが、せいぜいこのくらいでの交換でよいのです。
冬季であっても同じです。
ただし季節を問わず高回転で回す癖のある人、普段自分で点検せず1年に一度の法廷点検しか受けない人は10000kmを超えないようにした方がよいかもしれません。
理由はオイルの汚れが進まなくてもオイル自体がエンジンで消費されて量が減ることがあるからです。
車のように4サイクルエンジンであってもエンジンオイルはシリンダー等高温部を潤滑・冷却する時に少量が燃えて消費されるのです。
いずれにせよご自分の判断になりますが、自動車評論家や自動車用品店の話を鵜呑みにするといくらお金があっても足りません。
不安、疑問点はどんどんディーラに聞くべきなのです。
スポンサーリンク