エアコンの内部循環の思わぬ弊害
カーエアコンの問題点は?
近年の車のエアコンは100%近くがオートエアコンとなり、温度設定だけで快適に使う事が出来るようになりました。
AIなどによる予測制御、広い車内を持つミニバンなどは後部席と独立した温度設定など至れり尽くせりです。
ここまで「お利口さん」になると温度設定とガラスの曇り止め以外の操作はしないし、考えなくなりませんか?
でも昔からある「外気取入れ」と「内部循環」の操作はおろそかになります。
頭の良いオートエアコンならばこの切替えも自動で行うものもありますが(基本/優先は外気取入れ)、常に思った動作をしてくれるわけでもありません。
そこで本記事では改めてこの2つのモードについて考えます。
本記事は「北海道特有」の問題ではありませんが、観光で来道されてレンタカーを使う機会が多いと思いますし、マイカーとは操作性がまるで違う車に乗るので、意識して欲しい点を説明することにしたのです。
外気取入れと内部循環の使い分け
以下の記事も参考としてお読み下さい。
この↑記事では燃費を考えつつ、最初にエアコンを入れた時に短時間で効率的に目標室温にするためのノウハウを説明しています。
季節と気温に応じて外気取入れと内部循環を使い分けると良い、という内容です。
ただし「ガラスが曇る」、「室温がある程度落ち着いて来た」という状況下では必ず「外気取入れ」にしておく必要があります。
では室温(燃費に関連して)やガラスの曇り以外の面で外気取入れを心掛けなければいけない理由は何なのでしょうか?
室温が適正になり、ガラスの曇りもなければ内部循環でもどっちでも良いはずですね。
渋滞時の前の車の排気ガス、付近に異臭(牧場や工場などがある場合)がする時のことを考えたらずっと内部循環にしておいた方が良さそうです。
でも一時的に内部循環を使うにせよ、その後はずっと外気取入れにする必要があるのです。
内部循環は眠くなる・・・
内部循環を使い続けると「ガラスが曇りやすくなる」ことの他に「眠くなる」ということがあるのです。
最近JAFが大学も参加した実験をして検証をしたという大変興味深い情報を得ましたのでご紹介します。
何らかの理由で内部循環を使い、そのまま走り続けると1時間後には車内の二酸化炭素濃度が5倍以上になる、というのです!
大人4人が乗車して、実験開始時の車内の二酸化炭素濃度は約1000ppmだったそうですが、1時間後には5000ppmを超えたそうです。
たった1時間経過で5倍超にもなるのは驚きですが、内部循環のまま走り続けても二酸化炭素が増え過ぎて乗員が死ぬなんてことはもちろんありません。
でも二酸化炭素濃度が高くなるとどうなるかご存知ですか?
最初に大きな影響を受けるのは脳です。
全身で消費される酸素と栄養分の1/5以上を脳だけで消費するのです!
(栄養面からいうと成人男性の基準摂取カロリーが2500kcal/日と言われていますが、1日でそのうち500kcalを脳だけで消費するのです! ちょっとした軽い定食くらいのカロリーをあの脳みそだけで使うのです!)
とにかく脳は酸素を大食いですので、酸素の量が減れば途端に働きが鈍くなります。
つまり眠くなってくるのです。
ね、眠い・・・
よく高速のSAや道の駅などに「あくびが出たら危険信号!」と書いてありますが、運転中のあくびは疲労だけとは限らないのです。
つまり運転中に起きる疲労以外のあくびは内部循環を長く使い続けている時にも起こるということです。
(言い換えるとずっと外気取入れモードで運転していて眠くなるのは疲労(乗車前の疲労も含む)ですが、高速道路などの単調な景色の影響もあることでしょう。)
内部循環を使い続け、1度降車して再び乗車すると車内の空気が澱んでいるのを感じることもあります。
ですから内部循環モードは発進前/直後にエアコンを効率よく使う時だけにして、あとは外気取入れモードにしておく必要があるのです。
しかし上述したように近年のオートエアコンは知らない間にずっと内部循環のままになっていることもありますので、マイカーはもちろんですが、旅先のレンタカーでは特にこのモードの確認をしておきましょう。
なお「他車の排気ガスや付近の異臭」を避けるために一時的に内部循環にされる方もいますが、あくまでもごく短時間の一時的な使用に留めるべきです。
外気取入れで他車の排気ガスが車内に入って来ても、走っていれば車内の空気はどんどん新しくなって行くからです。
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